健康食品だけでは健康になれない?

誰しも、いつまでも健康を維持したい、と願うものです。
そんなニーズに応えるように、実に様々な効果を謳った健康食品が販売されています。

健康食品はその全てが国の基準を満たした食品ばかりではありません。
中には「食べるだけで筋肉増強」「飲むだけで体重が激減」のような、効果の怪しい物も。
『楽に健康になれる』、『楽に痩せられる』、と飛びついてしまうと逆に健康を害してしまう可能性もあるため注意が必要です。

健康食品について、正しい知識を持って活用しましょう。

■健康食品だけで健康になれる?
消費者庁では、健康食品について次のように記載しています。
”健康の維持・増進の基本は、「栄養バランスのとれた食事、適度な運動、十分な休養」です。
安易に健康食品で栄養の偏りや生活の乱れを解決しようとせず、食事、運動、休養の質を高めるための補助的なものとして、健康食品を上手に利用することが重要です。”

健康食品だけで健康を維持することは難しく、健康のためには食事・運動・休養に気を付けることが大前提となります。
その上で、健康食品は補助的に使うことを意識する必要があります。

国が定めた安全性と効果に関する基準などに従って機能性が表示されている食品に「特定保健用食品(通称トクホ)」がありますが、
トクホの商品パッケージやCMをよく見ていると『食生活は、主食、主菜、副菜を基本に、食事のバランスを』というような内容の文言を目にしないでしょうか?
トクホの商品であったとしても、それ単体で健康を保証するのではなく、あくまで補助的な立場であることが分かります。

■健康食品はどれも同じ?
健康食品のうち、国が定めた安全性と効果に関する基準などに従って機能性が表示されている食品は「保健機能食品」といい、「特定保健用食品(通称トクホ)」・「栄養機能食品」・「機能性表示食品」の3種類があります。
これらは国や事業者による安全性や機能性の裏付けがあるため、商品を選択する時の判断材料になります

逆に、保健機能食品以外がすべて危険ということではありませんが、無認可のものはその効果や安全性が不確かなため、思わぬリスクが潜んでいる可能性があります。

消費者庁が公表しているQAに次のものがあります。
Q.健康食品は医薬品ではなく食品なので、有害な効果は無いと考えて良いか?
A.健康食品にも有害な作用がある場合があります。
むしろ、保健機能食品以外の「その他健康食品」の多くは、販売前に製品としての人での安全性や有効性の確認がほとんどされていないので、どの程度の有害な作用があるか分からないと考えたほうがいいでしょう。

■健康食品で簡単に痩せられる?
ダイエットは男女問わず、多くの方の関心事です。
SNSや動画配信サービスを見ていて「楽して痩せられる」などの謳い文句の商品広告を目にしたことがある方も多いのではないでしょうか。
ダイエットに対して、キツイ運動や食事制限など、負のイメージを持っていると、「楽に痩せられる」というのは非常に魅力的です。

しかし、この質問に対する消費者庁のQAは非常に明解です。
Q.簡単に痩せるために健康食品を利用したいです
A.食事のコントロールも運動もせず、健康食品だけで安全に、楽に痩せることはありません。

ダイエットを謳った商品の中には、商品説明をよく見ると小さい文字で、「適度な運動と栄養バランスのとれた食事を併用した場合の効果です。」のような文言が書かれていることもあります。
他にも、下痢を引き起こしたり、利尿作用で体内の水分を減らすことで一時的に体重を下げるようなもの。
国内で承認されていない成分が含まれており、重篤な健康被害を引き起こすケースなどもあるため、注意が必要です。

■健康食品による健康被害(例)
実際に発生している健康食品による健康被害として、独立行政法人 国民生活センターによせられた相談には次のようなものがあります。

・高麗人参のサプリメントを注文し、服用したところ、倦怠感におそわれたので病院で診察を受け、肝機能が低下していることがわかった。
・定期購入でお試し価格のダイエットサプリメントを注文したが、1袋を飲んだところ、下痢が続き体調を崩してしまった。
・動画投稿サイトの広告を見て数百円の筋肉増強サプリメントを購入した。飲むと発疹が出た。
・インターネットで定期購入の生酵素サプリメントを申し込んだが、喉がイガイガするなどアレルギー症状が出た。
・カキエキスなど亜鉛含有の健康食品を2種類服用していたら、めまいに悩まされるようになった。
(参考)独立行政法人 国民生活センター 健康食品の危害

■健康食品を選ぶ時のポイント
消費者庁では、健康食品を選ぶ時のポイントとして次の7点をあげています。

1.錠剤・カプセル状の製品は過剰摂取になりがちです。味・香り・容積が備わった通常の食品形状の製品の方が、過剰摂取になりにくいです。
2.広告のキャッチコピーや利用者の体験談のみを信用するのではなく、自分自身で製品に含まれている成分の安全性と有効性に関する情報を調べてみましょう。
3.友人・知人から得た情報は、その情報源をたどって、販売業者の宣伝にすぎない内容ではないか、正確な情報かを確かめましょう。
4.製品の品質等を確認するための、製品中の個別の含有量、製造者や問合せ先が明記してあることを確認しましょう。
5.思わぬ健康被害を受けることがあるので、錠剤・カプセル状の製品を複数利用したり、医薬品的な効果を期待して利用しないようにしましょう。
6.自己判断での医薬品との併用は避け、不調を感じたら必ず医師・薬剤師などの専門家に相談しましょう。
7.高価な製品ほど効果があるとは限りません。同様の製品と比べてみましょう。

この他にも、有名人やインフルエンサーの方がSNSやブログなどで紹介しているものも鵜吞みにせず、本当に安全なものであるか自分でも調べることが大切です。

食品の安全性・有効性については、下記のページで調べることができます。
国立研究開発法人 医薬基盤・健康・栄養研究所 – 「健康食品」の安全性・有効性情報

今回ご紹介した内容以外にも健康食品に関するQ&Aを消費者庁がまとめています。
様々な情報が掲載されているため、健康食品の活用を検討されている方はぜひご覧ください。

消費者庁 健康食品Q&A

健康は「栄養バランスのとれた食事、適度な運動、十分な休養」に気を付け、健康食品は不足した栄養素の補助などに使うようにしましょう!