健康づくりのための身体活動・運動ガイド 2023(案)から運動の目安を知ろう

人は誰しも健康な状態で長生きしたいものです。
適度な運動は生活習慣病などのリスクを低減し、健康寿命を延ばすことが期待できます。

身体を動かすことが健康に良いことはなんとなく理解しているけど、具体的にどのくらい運動すればよいのか?
そのような疑問を持つことはないでしょうか。

2023年11月に国による「健康づくりのための身体活動基準・指針の改訂に関する検討会」が実施され、『健康づくりのための身体活動・運動ガイド 2023(案)』が発表されました。
このガイドから、「健康のためにはどのくらい運動すればよいのか?」を見ていきましょう。

■健康づくりのための身体活動・運動ガイドとは
国による健康のための身体活動・運動のガイドラインは平成元年に策定されたのがはじまりです。
何度かの改定が行われ、現在最新のものは「健康づくりのための身体活動基準 2013」でした。
そこから10年が経過し、現在の科学的知見などを踏まえ、最新の「健康づくりのための身体活動・運動ガイド 2023(案)」が策定されました。

■身体活動・運動の推奨事項
<成人>
①歩行または同等以上の身体活動1日60分以上
(歩行の場合は1日8,000歩以上が目安)
息が弾み汗をかく程度以上の運動を週60分以上
筋力トレーニングを週2~3日(③は②の活動に含めてもよい)
④座りっぱなしの時間が長くなりすぎないように注意する

<高齢者>
①歩行または同等以上の身体活動を1日40分以上
(歩行の場合は1日6,000歩以上が目安)
②有酸素運動、筋力トレーニング、バランス運動、柔軟運動など多要素な運動を週3日以上
筋力トレーニングを週2~3日(③は②の活動に含めてもよい)
④座りっぱなしの時間が長くなりすぎないように注意する

■世代別のポイント
<成人>
座りっぱなしの時間をできるだけ減らすように意識しましょう。
 平成25年度の調査によると平日1日の座位の時間が8時間以上と回答した人の割合は男性38%、女性33%です。
 世界20か国における調査と比較しても、日本人は座位の時間が長い傾向にあります。
身体を動かす時間を増やしましょう
 運動に限らず、家事(買い物・洗濯・掃除等)や通勤(徒歩・自転車を利用)など、日常生活における身体を動かす機会を増やすことも効果的です。
 日常的に身体を動かす機会を増やすことで、座りっぱなしの時間を減らす効果も期待できます。

<高齢者>
・身体機能が低下している高齢者については、安全に配慮し、転倒等に気を付けながら取り組みましょう
・有酸素運動はウォーキングだけではなく、多様で複雑な動きを伴う運動も効果的です。(ラジオ体操・ダンス・バランス運動など)
・高齢者は筋力が低下しやすいため、筋力トレーニングも意識的に取り組みましょう

■身体活動・運動のポイント
<身体活動>
成人・高齢者に共通する「①歩行または同等以上の身体活動1日〇分以上」の歩行『以上』の身体活動は以下のようなものが当てはまります。
・清掃(フロア掃き、掃除機、床磨き、風呂掃除、草むしりなど)
・階段の上り下り
・荷造り、荷物運び、積み下ろし
・自転車に乗る
・こどもや動物と遊ぶ(歩く/走るなど中強度以上)

歩行『以下』に当てはまる身体活動は以下のようなものです。
・立位(会話、電話、読書)
・料理、食材の準備、皿洗い
・ガーデニング、植物への水やり
・こどもや動物と遊ぶ(立位、座位で軽度のもの)

<筋力トレーニング>
・筋力トレーニングは日常生活レベル以上の負荷で筋肉へ負荷をかけます。
 マシンなどを使ったウェイトトレーニングに限らず、腕立て伏せやスクワットなどの自重によるものも効果があります
・特定の部位だけを鍛えるのではなく、胸・背中・上肢・腹・臀部・下肢など全身をまんべんなく行いましょう
・女性や高齢者は筋力トレーニングの実施割合が低い傾向にあります。
 筋力は性別や年齢に関係なく鍛えることができるため、誰もが積極的に取り組みましょう

これらが健康作りのための活動の目安になります。
しかし、時間が無い、体調面等から目安以下しかできない、という場合もあるかと思われます。
目安以下しか取り組めない場合は意味が無いかと言うと、そのようなことはありません。
個人差等を踏まえ、強度や量を調整し、無理なく可能なものから取り組むようにしましょう
まずは今より少しでも多く身体を動かすことが大切です

<参考>
厚生労働省「健康づくりのための身体活動・運動ガイド2023(案)